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2.172016
REPORT 教育で世界を変えるNGO・DTCを訪問して フィリピン出張➂
DTCを訪ねると代表のエフレン Eflenさん(35歳)がにこやかに出迎えてくれました。想像以上の好青年です。彼は、16歳の時に、学校に行かないホームレスやスラムの子どもたちに教育の機会を!と、10代の仲間とNGOを創設し、手押し車にみんなでかき集めた教科書や本、聖書、紙芝居、文房具などを乗せて、手押し車教室「Pushcart Classroom」をはじめました。
じつは、彼もスラムで生まれ、小さい時から経済的に厳しい環境で育ち、高校では日々いろいろなものを盗まれ、脅されるなど辛いいじめを受けていました。いつか彼らに仕返ししたいと思い続けていた頃、恩人のタヅさんに出会い、「暴力ではなく、違う方法で彼らを見返すことができる。」と言われ、勉強に目覚めます。その後、教育を支援するNPOの援助を受けて高校、大学に進学し、教員免許を取得。「教育を受けることができたから、あの地獄の日々から抜け出せた」。自分と同様な境遇にあるスラムの子どもたちも教育を受けて、新しい未来を切り拓いてほしい!と活動を始めます。今や彼の活動に賛同した多くの若者や子どもたちがボランティアとして彼を支えています。
エフレン君 Eflen Penafrorida パクパクの商品、布絵本の寄付を喜んでくれました |
しかし、教育の大切さを知ったとはいえ、彼のすごいところは、学校に行けない子どもたちのために、「学校」を手作りし、持っていったということです。それも特別な道具や機材を使うのではなく、身の回りにあった手押し車に黒板と本やペン、机やいすを積み込んで出かけていくという、シンプルだけど斬新な方法。「子どもたちが子どもたちを教える」という方法は今まで誰も考えつかず、実行されていませんでした。
ホームレスで行き場もなく墓やゴミ山にたむろす子どもたちにとって、若者や自分と同じような年齢の子と゛もたちがやってきて、声をかけられ話を聞いてくれたら、自然とその輪の中にはいりやすいはずです。そして、絵本を読んでくれたり、共に歌ったり、ダンスをすることで、自分の世界がどんどん広がっていく驚きと感動。学ぶことの楽しさを実体験したエフレン君だからこそ、考えついた教育方法だと思います。たくさんの子どもたちに学ぶきっかけを与えてきたことでしょう。
手押し車の移動教室は、最初は親に受け入れられずに、無意味だからやめろと言われたり、いやがらせの暴力を受けたり、苦労の連続だったといいます。けれども彼はあきらめずにコツコツと毎週土曜日に活動を続け、活動地域を広げていきました。
そして、12年間活動を続けた28歳の時に、「人を助けるために驚くべき貢献をした個人」に贈られる米CNNの「ヒーロー・オブ・ザ・イヤー2009」に選ばれたのです。
これをきっかけに手押し車教室は多くの人に認められ、今やフィリピン教育省も協力し、2015年には首都マニラ周辺で100以上の手押し車教室が展開されています。寄付も集まるようになりました。現在は近くに『森の学校』を建設中で、DVや望まない妊娠などで行き場のない子どもたちのシェルターにし、農業なども行い、生活できるようにする計画だそうです。
彼は「教育は一度身につければ、だれにも盗まれない一生残る財産」と語ります。彼らの活動が多くの人を感動させ、フィリピンだけでなく、アフリカ・ケニヤや南米、インドネシアなどに広がりつつあります。「教育で世界が変わる!」という彼の熱い思いを実感することができました。
日本からも引きこもりや不登校になった子どもたちが彼らに会いに来ているそうです。彼らに出会うことで、自分たちにも何かできることがあるかも?と元気をもらって帰っていくそうです。今回、私たちも彼らと出会うことで、教育の大切さはもちろん、自分で自分の世界を変えていくことの大切さを学ぶ貴重な出会いとなりました。
左から、エフレンさん、ケズ君、タヅさん(白いシャツの男性) タヅさんは二人のメンター的な存在。 |