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伝統織物「ビナクル」の里 3 サラット村Ⅱ


伝統織物「ビナクル」の里 サラット村Ⅱ (2/27)

●ビナクル織のふるさとサラット村

ビナクルはつむじ風や渦潮などの大自然のパワースポットを幾何学模様で立体的に表現している織物です。だまし絵のようなユニークなデザインは悪霊をよせつけない不思議な力があるといわれています。航海の安全を守る幸運の布として、ガレオン貿易船の帆として珍重され、人々の暮らしを守る布として女性職人たちによって世紀を超えて織つがれてきました。

しかし、今や織手が減少し、サラット村と、ビガン市のカマガアン、ミンドロ、ピニリ村のみで織られているという希少な布です。

今回はまず、サラット村のビナクル織を継承し、復興させるべく奮闘する女性たちの織物工房「サンノゼ多目的協同組合 (San Jose Multi-Purpose Cooperative)」を訪問することができました。

                 

ビナクルの基本のデザインは、黒と白、紺と白というように2色使われます。このデザインは、ワールプール(Whirlpool:渦巻)またはワールウィンド(Whirlwind: 旋風)とよばれ、渦潮やつむじ風を表現しています。四角または長方形の直線で構成されますが、OP-ART(だまし絵)効果を生んでいます。

19世紀後半のアメリカ植民地時代には「織機の芸術」といわれ人気を博し、多くの伝統的な作品は、アメリカの美術館に収蔵されているそうです。

誕生から亡くなるまで人々を守り、生活に寄り添ってきた布でもあります。

●伝統織物ビナクルの復興をめざす女性起業家、リンさん 



サンノゼ多目的協同組合女性部の代表リンさん(左)とメンバー

ビナクルはサラット村の誇りともいえる伝統織物。担い手の減少に歯止めをかけようと2009年に立ち上がったのがリンさんでした。

リンさんが暮らすサンノゼ地区には、農業活性化のための「サンノゼ多目的協同組合」が組織されていましたが、男性が中心。夫たちが頑張る姿をみて、女性の私たちも頑張ろう!と女性部をスタートさせました。そしてわずかの元手をもとにビナクル織の復興を始めたのです。

かつてはどの家にも織機があり、家族のために女性たちは毛布や枕カバーなどを織っていました。リンさんは、まずは埃をかぶっていたその織機を手入れし、再び使えるようにしました。

当初は共同作業のための建物もなく、マンゴの木の下で織ったり、縫製をしていましたが、数年前には政府からの援助で工房が完成。やる気のある人には政府から織機が寄付されるようになり、メンバーも次第に増えつつあります。サンノゼ協同組合では、現在約30人の女性たちが働いています。ちなみに、私たちはGREAT WOMENというマニラの支援グループを通して彼女たちに布を発注しています。

政府の援助で完成した織物センター。

織物センターにはミシンを設置し、おもに小物製作を行っています。
商品のショール―ムにもなっています。

女性たちは忙しい家事と育児のあいまをぬって家内で織にとりくんでいます。
リーダーのリンさんは、祖母の目が悪くなった11歳のとき、祖母から織り方を教えてもらい、技術を習得したそうです。現在では、織物の仕事が増えて、生活も少しずつ楽になり、子供たちも夫も仕事を応援し協力してくれるようになったそうです。「夫は、ちょっと嫉妬しながら、妻に誇りをもつ仕事があることを喜び、応援してくれているの!」と笑います。

「生活の一部として続けてきた織物ですが、以前は誇りがもてなかったんです。でも、GREAT WOMENのビジネスのセミナーに参加したのをきっかけに、女性のもつ力に目覚め、自分の力を信じることで自立できること、女性たちが連帯する大切さを学びました。自分自身が大きく変わったと思います。今は誇りをもって織物の仕事をやっています。<私たちは起業家です>と自信を持って言えます!」
「ビナクルが世界的に有名になるのが、私たちの夢です」
と誇らしげに語るリンさんやメンバーたちの笑顔が印象的でした。

政府との連携、研修会の参加、他団体との交流、地域のイベントやマニラでのイベントなどにも積極的に参加して大忙しのリンさん。リンさんは、若くやる気のある人には優先的に技術指導し、縫製技術やデザイン等はスタッフと研修会に参加して技術向上に努力を重ねています。メンバーのスキルアップや販路拡大に力を入れています。             
                  

ベテランのベティ―さん。私たちの注文を織り上げてくれる予定。
織り機はだいたい家の外、テラスに設置されています。
ベティ―さんのお隣のマイケルさん。昔はどこの家にも織機があり、子供のころから親が織っているのを見てきたので男性も織ることができるとのこと。妻の生理中には夫が変わって織るという習慣も残っているそうで、今日は妻の代わりに織っているそうです。奥さんはにこにこしながら作業を見守っていました。織は女性だけの仕事でなく、家族が協力しながら織っていることがわかりました。
           

家族で3日かけて織機にかけて整えた経糸。やっと織りの作業に入ります。

ブルーのビナクルに使用する糸は、ジーンズ会社から綿100%の丈夫な糸をわけてもらっているそうです。束糸のまま購入するため、織機にかけるには糸の質をチェックし選別、長さをそろえ整えなければなりません。織機に経糸を張るのも二人が必要で、達人でも2-3日間はかかります。そのため家族や隣人が互いに手伝っておこないます。

              

組合員の皆さん大集合!
中央の白い帽子の男性が組合長。村人たちはビナクル織は私たちの宝と誇り!として次世代に引き継いでいきたいと頑張っていました。今後も後継者が続いてくれますように。


・伝統織物「ビナクル」の里4 ビガンⅠ  へ続く・・・・・

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