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伝統織物『ビナクル』の里 4 ビガンⅠ

伝統織物『ビナクル』の里へ4   ビガンⅠ Vigan   (2/28)

イロコス・ノルテ(北)のサラット村から、イロコス・スル(南)の州都ビガンへ車で移動。
歴史都市ビガンは、スペイン統治時代の面影を強く残した美しい都市で、街並みがユネスコの世界遺産に登録されています。
 
ビガン近郊にも伝統織物を継承する小さな織物工房がいくつかあることがわかり、事前にリストアップしてきました。そのリストをもとに、ビガン市の観光協会にまず立ち寄り、工房の場所を確認し、行き方などのアドバイスをもらいました。
 
ビガン市は観光に力を入れているので、地元の織物工房についても詳しく、貴重な情報を提供してくれたおかげで、思いがけない職人や工房を訪ねることができました。
 
ビガン市役所

ビガン観光協会は、市役所の1Fにあり、スタッフが親切に説明をしてくれました。
今回の旅の心強いサポーターは、通訳の穴田久美子さん。
英語、タガログ語、イロカノ語??を駆使して、詳細な現地情報をゲット!!

今回お世話になったドライバーのJRさんとRicoさん。二人は従兄弟。
旧市内は車の乗り入れが禁止されているため、トライシクル(オートバイに座席を取り付けた乗り物)が大切な交通手段になっています。観光客へのマナーアップのためのドライバのセミナーも行っているとのこと、セミナーを受講したばかりというドライバーさんを紹介してもらいました。
 
 
 
 
 
トライシクルに乗って、いざ出発!!南国のキラキラ輝く日差しのなか、風をいっぱい
受けながらの工房めぐりは、ちょっとスリルがあって、楽しい思い出になりました。
 
 
 
●イロコスの伝統織物を守る女性たち ビガン 2/28
 

①ロウイルダス織物工房 (Rowilda’s  Weavers)

ビガン市内のカマンガン地区は織物で有名な地域だそうですが、そのなかでも50年以上続く老舗の製織センター。市内に観光客用の土産店と織物工房をもっています。
代表はドミニク・パネラ Dominiqe Panela さん。彼女は、マニラのデザインスクールでデザインを学んだそうです。
 
 
 
 
 
  ドミニクさんの工房兼ショールーム。商品は、テーブルランナー、プレースマット、テーブルクロスなどの実用品が中心。緑、マスタード、オレンジ、黒などをカラフル混ぜ合わせる大胆な色づかいは、ドミニクさんのオリジナルデザイン。中国やカナダなどにも輸出していて、マニラの大手スーパーやデパートなどとも取引しているそうです。
 
 
 
 
ドミニクさんは、女性起業家として、伝統織物のビジネスでめざましい貢献をしているとのことで、州や市からいくつもの賞を受けています。 
 
 
 
 
職人さんは約25人。工房で織っている人もいますが、多くの女性職人さんたちは、家事や子育てをしながら家で仕事をしています。 
 
 
 
 
②クリスティーズ織物工房(Christy’s Loom Weaving) 
 
カマンガン地区でいちばん古い製織センター。現在、3代目の孫娘クリスティナ・アンティナヤ Christena Q. Antinaja  さんが事業を継いでいます。 
 
 
 
 
アンティナヤさんに、工房や職人の現状についてインタビュー。近隣には、約30人の職人がいるそうです。織布の在庫やバッグなどの小物商品が並ぶなか、思いがけずビナクル織物にも出会うことができました。初めて見る薄手のビナクル生地です。 
 
 
 
 
 
 
 
アンティナヤさんとお話しながら、 この薄手のビナクル布で何を作ろうか? バッグ、ミニポーチ帽子とか?  商品開発のアイデアがふくらみます。夕方には違う色のビナクル布が織りあがる予定とのことで、ぜひ見たいとお願いし、夕方には二度目の訪問を果たしました。
 
 
 
クリスティーズのお店の前で。珍しい薄手のビナクル生地を購入!
 
お店では、飲み物やお菓子も販売していました。
 
 
 
③Pagabelan Ni Tinay 織物工房  (イロカノ語で母が与えるという意味)
 
カオヤハン地区にある製織工房。約20台の織機が設置されていて、かなり大きな規模の工房です。代表のアグスティナ Agustina Q. Quitoriano さんは、9人兄弟の末っ子ですが、12歳で織を習い、親から工房を受け継ぎました。男兄弟4人も織ることができるそうです。
 
 
 
 
写真右に山積みになっているのが、織り糸の束。左の壁に掛けられている写真はご両親。いつもご両親が見守ってくれています。
 
 
 
 
若いときから織物の振興に力をそそいできたアグスティナさん。地域のリーダーとして数々の表彰を受けてきました。
「イロコス州政府は起業家として認めてくれているので、セミナーなどに招かれ、今までの体験を講演しています。私の話を聞いた若者が織に興味をもち、工房を訪ねてくることがあり、やりがいを感じています」と語ります。織への熱い思いと製織業への誇りが伝わってきました。
 
 
 
 
5人の子どもたちの写真。5人をカナダに留学させ、高等教育を受けさせることができたという肝っ玉母さん。子どもたちは成人し、それぞれの分野で活躍しているそうです。町の人たちにも「織を続ければ夢がかなう!」と伝えています。 
 
 
 
 
約20台の織機が設置されている大きな工房。職人は約30人で、工房では10人が仕事をして、あとは各家庭で仕事をしています。若い女性たちが工房でてきぱきと働いていました。
 
 

糸はマニラで゛購入。自分たちで染色も手がけています。
 
 
 
 
工房入口には、見学者のために、たくさんの織の工程を説明する写真が展示されています。織機に糸をかけるまでだけでもいくつもの工程があり、製織業の大変さがよくわかります。
 
伝統織物の継承のために、小学校の授業や高校の単位としてカリキュラムに入れてくれるように教育省に要請しているとのお話でした。
 
 

ショールームで見つけたのが、細い糸で織りあげた色鮮やかなビナクル織のショール。薄手のコットンの肌さわりがとても気持ちよい。伝統のワールプールWhrlpool(渦巻き)デザインで、斬新でモダンなOP-ART(だまし絵)効果が楽しめる逸品。各色貴重な1点物をみんなで購入。

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*ビガン近郊の織物工房巡り

ビガン近郊での機織工房巡りでは、イロコスの伝統織物を親から引き継ぎ、地域の人たちを率いてがんばっている女性起業家たちに出会うことができました。彼女たちの明るい笑顔は自信に満ちていて、この伝統ビジネスを次世代にしっかり手渡していきたいという熱い思いが伝わってきました。

ビガン市やイロコス州の自治体も、イナベル織を地場産業として育てるために、技能やビジネス啓発セミナーを開いたり、担い手を応援する賞を設けていて、官民で取り組んでいるようです。それは彼女たちをスキルアップし、励みと誇りになっていました。

フィリピンでは、女性が組織のトップを務めていることはめずらしくありません。女性の活躍度は世界でもトップクラス。ジェンダー・ギャップ指数(2029.12.世界経済フォーラムより)では、世界で16位、アセアンでは第1位を誇ります。(・・・・一方で、日本といえば、世界121位。)

 
家事や子育てをしながらコツコツと根気よく織機に向かう女性たちに出会い、女性の勤勉さが母親世代から脈々と受け継がれているのを実感。フィリピンの底力、たくましいウーマンパワーをひしひしと感じ、大いに刺激を受けました! 日本人女性が学ぶべきことも多いと思います。
 
イナベル織は、糸の準備から織りまで、想像以上に手間と時間がかかり、伝統の技が織り込まれた手織物がいかに貴重なものかを再認識することができました。そんな彼女たちと連帯して、その熱い思いが込められた織物を、日本の多くの人たちに紹介し、応援していけたらと強く思いました。 
 
 
 
・伝統織物『ビナクル』の里 5  ビガンⅡ  に続く・・・・
 
 
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