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5.142021
オーガニックコットンとメイド・イン・アース 世田谷フェアトレードタウン推進委員会<サステナブル・ラボ>に参加して
世田谷サステナブル・ラボvol.1 2021/3/13(土)10:30~12:00
*世田谷サステナブル・ラボは世田谷フェアトレードタウン推進委員会(FTTS)が定期的に開催する勉強会&交流会です。世田谷を舞台にサステナブルな事業を展開する事業や団体を紹介する連続講座です。サステナブルな仕事のあり方・人と地球にやさしいエシカルなことを知りたい、SDGsに取り組みたい人へのプレゼンテーションです。
第1回は世田谷区奥沢で26年にわたりオーガニックコットン製品製造と販売を手掛けるメイド・イン・アース(MIE)の前田剛さんをゲストにお話を伺いました(オンラインZOOM開催 参加者14人)。
以下、忘備録として内容と感想をまとめました。FTTSの公式記録ではありませんのでご注意ください。
テーマ:オーガニックコットンとメイド・イン・アース
お話:前田 剛さん
メイド・イン・アース(MIE)のコットン製品
一般的にオーガニックコットンは肌にやさしく、安全、安心というイメージがあるが、現在オーガニックコットンの多くの製品は、化学的な染料を使用しており、カラフルな製品などが出回るようになっている。しかし、メイド・イン・アースでは、天然コットンの綿の本来の力やふくよかな風合いを最大限生かすために、脱色や染色をしない純オーガニックコットン100%製品を作り続けている。
オーガニックコットン(OC)と普通のコットンとの違い
オーガニックコットンについて
オーガニックコットンとは、3年以上有害農薬や化学肥料を使っていない土地で遺伝子組み換えされていない種子で育てたもの。オーガニックコットンは有機栽培の農産物。
普通のコットン(コンベンショナルコットン)について
世界の繊維生産量は1億1100万トン。コットン(綿)、麻、シルクなどの天然繊維の生産量は約30%,化学繊維が約70%。全生産量の中で綿は約23%(2500万トン),綿の中でOCはわずか0.9%(24万トン)で1%にも満たないのが現状。
普通のコットンは遺伝子組み換えの種、殺虫剤、成長抑制剤、落葉剤など化学的な薬品を使用して栽培されている。普通のコットンは全世界の農場のたった2%にすぎないコットン農場に、世界で散布される農薬の16%が使用されている。生産者への影響が深刻。また地下水の汚染や近隣住人にも影響を与えている。更に、貧しい生産者は種や農薬を購入する際に多額な借金を背負い、その上生産物は安く買いたたかれるため貧困生活から抜け出せない、児童労働など人権問題も深刻になっている。
綿(わた)について
コットンを育てて結実したふわふわした白いかたまりをコットンボールというが重量の70%が種子。(注:コットンボールは綿の種子を含む白色の繊維のこと)。このコットンボールを綿繰り機で綿(わた)と種に分ける。綿を紡ぎ糸にして織機にかけて織りあげ布にする。とても手間がかかる工程。通常取り出した種は綿実油にし、残りかすは家畜のえさにする。
和綿を守るプロジェクト
日本ではかって、全国各地に200種類ほどの在来種の綿が栽培されていたが、今では鴨川和綿農園の田畑健(たけし)氏が30年かけて全国から集めた約40種類が残るだけとなっている。
メイド・イン・アースは和綿のタネを守ってゆきたいという思いから2003年から和綿プロジェクト・和綿の種ひろがるプロジェクト「HOME GROWN」を立ち上げ和綿栽培を広める活動を続けている。https://www.facebook.com/wamen.project/
プロジェクト参加者の綿を集めてTシャツを製作する計画もあり、Tシャツ用の糸は織機にかかる和綿&オーガニックコットンの混紡糸で製作する予定(参加自由・有償)。 Tシャツは約200gとして、コットンボール1つ0.5gなので、約400個が必要になる。
オーガニックコットン(OC)の会社を起業した理由
以前は広告企画制作の仕事をしていたが、知人の紹介で宮嵜道男さん(NOC日本オーガニックコットン流通機構顧問)に出会い、オーガニックコットンについて知った。宮嵜さんは米国から帰国後オーガニックコットンを広めた人物。
もともと赤ちゃんやファミリーを幸せにする仕事がしたいと思っていたので、この出会いが企業するきっかけとなった。知れば知るほどオーガニックコットンの良さを感じ、栽培から製造まで純オーガニックのコットン製品を扱う「メイド・イン・アース」(MIE)を立ち上げた。
メイド・イン・アースのモノづくりへのこだわり
1: 素材、縫い糸、タグ、紐、リボンなどの製品するコットンはすべて純オーガニックコットン100%
2 :製品加工の際は有害な化学物質をつかわない
3:日本国内で丁寧に縫製
4:製造時のエネルギーは市民電力(みんな電力)とグリーン電力証書で100%を実現
*2011年8月~全オーガニックコットン製品と液体せっけんの製造・加工工程における電力をグリーン電力化した。
5:動物実験を行なわない
SDGs推進のための取り組み
SDGs推進のため、現在ではオーガニックコットンやエシカルについて話す機会が増えている。和綿の普及活動について学校や地域の団体で話すと子ども達から親にも伝わり嬉しく思っている。また、この活動をとおして学びや人と人のつながりを深めていきたい。
オーガニックコットン(OC)の生産量が1%未満の今、生産してもオーガニックコットン製品を購入する人が少ないのでは、オーガニックコットン生産量の増加は厳しいままなので、多くの人がオーガニックコットンついて知り、購入してくれたら嬉しい。
★メイド・イン・アース 東京都世田谷区奥沢7-3-10 T-STYLE自由が丘1F TEL:050-5357-9015
メイド・イン・アースの製品は、すべて世界各国の第三者の認証機関により認証されたオーガニックコットン(無農薬有機栽培綿)を使用している。製造の段階でも独自の基準を設け、化学薬剤による脱脂、脱色、防縮加工、柔軟加工をせずに、オーガニックコットン本来のやさしい風合いを充分に活かした天然100%「純オーガニックコットン」の製品。(メイド・イン・アースのサイトより)
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前田さんのお話を聞いて
コットンは私たちの生活の中で、服やタオル、寝具などとても身近なアイテムです。なかでもオーガニックコットンは肌触りが良く、安心、安全で環境にも配慮して作られているのは実感して理解していましたが、正直価格が高くてなかなか手が出ませんでした。自分の服を見てみるとオーガニックコットン製はTシャツ1枚とブラウス1枚のみで、後は普通のコットンまたは化繊の混紡したものばかりです。一般の家庭でもオーガニックコットンへの関心はまだまだ低いのではないでしょうか。
しかし、今回話を聞き、メイド・イン・アースのモノづくりへのこだわりと、持続可能な栽培をめざす「オーガニックコットン」への前田さんの熱い思い、そしてその価値をを知ることができました。オーガニックコットンの生産量がわずか1%にも満たない今、消費者がもっと購入していかなければオーガニックコットンの消費量はのびません。前田さんのおっしゃるように、オーガニックコットン製品の魅力とコットン生産者の現状を伝えていく必要があると思いました。
和綿の種ひろがるプロジェクトに賛同!
今回のメイド・イン・アースの綿の輪「和綿プロジェクト」のお話を聞いて、自分がささやかにできることとして、少しでも和綿の種を守っていきたいと思いました。
今が綿の種をまくベストシーズンというので、メイド・イン・アースから取り寄せた和綿を5月1日(土曜日)プランターにまきました。発芽したら、どんな形の葉が茂るのか?どんな花を咲かせるのか?ふわふわの白いコットンボールはいくつできるのだろう?とワクワクしています。また結実したコットンボールの綿繰りや糸紡ぎも参加できたらと楽しみにしています。栽培から製品への工程を自分の目で見て観察することでオーガニックコットンへの関心が深まることと思います。コットンの成長の記録は、インスタやサイトで紹介したいと思います。
オーガニックコットン栽培の復活をめざすフィリピン
昨年私たちはフィリピン・イロコス州の伝統織物の生産者を訪問しました。フィリピンでも17-18世紀ころには綿花が盛んに栽培され、オーガニックコットンの布が織られていましたが、戦後の時代の流れとともにほぼ全滅してしまいました。現在、オーガニック農業に力を入れているフィリピンでは、オーガニックコットン栽培と伝統織物の復活をかけて行政やNGOが動き始めています。近い将来、フィリピンでもオーガニックコットン畑が広がり、その綿で伝統布が織られることと思います。その日を楽しみにしています。
関連書籍
・『オーガニックコットン物語』 宮嵜道男著(コモンズ)
・『綿が世界を変える 衣の自給について考えよう』 田畑健 著 (地湧社)
追記 :
日本の大手企業でも、環境と生産者に配慮したものづくりをめざし、オーガニックコットンの取り扱いが増えています。純オーガニックというわけにはいきませんが、身近なところでは、無印良品の衣類のほとんどがオーガニックコットンを採用。価格のハードルも低く、Tシャツが1000円台で肌ざわりもよいものです。ジーンズや肌着もあります。イオンでもトップバリュブランドで、肌着からアウターまで幅広いオーガニックコットン製品を展開していて、価格もリーズナブルです。オーガニックコットンの着心地のよさとその意義を消費者が知れば、多くの人がもっと気軽に選べるはずだと思います。私たちも周りの人にPRしていきたいと思います。