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世田谷サステナブル・ラボ2022「 ファッションレボリューション!  ミラノで見た世界のサステナブル」

世田谷サステナブル・ラボ2022では4月23日、Fashion Revolution Weekにちなみ、根本亜希子さんにお話を伺いました。根本さんは2月にイタリアのミラノで開催されたミラノファッションコレクションに行き、世界のアパレル業界に広がる最新のサステナブルについて報告してくださいました。以下、お話を簡単に記録しておきます。

テーマ : 「ファッションレボリューション! ミラノで見た世界のサステナブル

スピーカー: 根本亜希子さん

●根本亜希子さんのプロフィール

ファッションブランドでPRを経て、現在はサステナブルプロモーターとして活動。最近ではコスモポリタンにインタビュー記事が掲載された。

★ MILANOコレクションで見てきたサスティナブルな取り組みについての報告

例年FASHION HUBという若手デザイナーをフィーチャーしたセクションを担当してきた.
毎年、社会を反映した様々なテーマが設定されており、今年は、「We are made in Italy」「Designer for the Planet」「Budapest Select」の3つのテーマで展開されていた。

若いデザイナーが新しい素材を使ったブランドが生まれている。(写真で紹介)
20代の若いデザイナーたちは資金がないので身近にある素材を使っている。たとえば80年代に制作された生地をビンテージ素材としてスーツやパンツなどにしたり、90年代~2000年代初めの素材に日本のアニメーションのキャラクターをプリントするなど、古いテキスタイルの余り布を使って今までにないデザインの作品にも出会った。
またイタリア在住の日本人でイタリアの素材を使い、日本の伝統的な絞り染めの技術を使って製作している興味深いブランドもあった。服の素材だけでなく、服を入れるパッケージも環境配慮した素材を使いたいと取り組んでいる日本人にも出会えた。ここまで考えているのは素晴らしい。イタリアではファッションを目指す学校で環境について学んでいるからだろう。さらに、イタリア政府は、国の文化や経済にとってファッションの重要性を認識しているため若い世代に資金援助をしているのはうらやましい。日本政府も若い世代を支援してほしいと思う。

🔶LINEAPELLEの紹介
https://www.lineapelle-fair.it/en/agenda/view/lineapelle-february-2022
LINEAPELLEは、ミラノで年に2回開催される革製品、アクセサリー、コンポーネント、テキスタイルの見本市。パンデミック前は100か国以上の国々から1,300店舗が出店していた。環境に配慮した合成素材や合成素材以外のさまざまな素材の見本市となっている。

🔸PICK UP
・FHEELGREEN  かかとに生分解性素材を使用したハイヒール。
https://365.lineapelle-fair.it/en/accessories-components/600e94d788114.html
・ リサイクルしやすいように、本体、ソール、ヒモまで全て同一素材で作られたスニーカー。
・ 自然エネルギーだけで動かされる製造マシーン。
* 生分解性素材とは、自然な環境の下で生体内の酵素の作用または土壌や水中の微生物により分解される材料。
・合成素材の服地等様々な新しい素材が開発されている。しかし、これらの素材を使用するには値段が高く、若い世代には厳しい。

・イタリアのデザイナーたちは環境保護についてよく学んでいると感じる。それに比べ日本のブランドは「環境に配慮しています!」と言いながら、どのように配慮しているのか?とか問い合わせても納得いく返事がもらえないし、知識がないと思わされることが多いのは残念で、Green wash?と感じることが多々ある。もっと勉強して知識を高め,確かな情報を発信してほしい。
例えば、水や電力の削減を目指しているのなら正直にデータを開示するべき。しかし、成果は簡単に出るものではないので、まだここまでしか行かない状況だと正直な報告をしても良い。そのほうが信頼につながると思う。

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 ★グリーン・ウォッシュ GREEN WASHについて考える

🔸チリ・アタカマ砂漠の古着の山積みの写真(AFP提供)を紹介

https://www.afpbb.com

チリのアルトオスピシアにあるアタカマ砂漠には中国やバングラデシュで作られ、アメリカやヨーロッパ、アジアで不要になった推定59000tの服が毎年チリに届く。一部は買い取られた後約39000tの服がアタカマ砂漠に捨てられている。この写真を見ると服はこれ以上作る必要があるのだろうか?と考えさせられる。自分たちが着なくなった服をリサイクルshopに持ち込んだり、ブランドに戻したりしても届けた服はその先どうなっているのか?その先まで調べて届ける必要があるのでは?

🔸GREEN WASHはなぜ起こるのか?
原因として考えられるのは企業戦術として使われている。
SDGsの流れに乗るため、ブランドイメージをよくしたい、消費者の信頼を得たい、環境を支援していることを顧客に見せるためのマーケティングに使っている。
消費者はGREEN WASHを見破るには以下の7つのポイントを見極めて、見破る目を持たなければならない。

 

🔸7つのGREEN WASH
①隠れたトレードオフ
環境に配慮するためにリサイクルをアピールしているが、リサイクルするためにエネルギーや水を大量に使用しているのでは意味がない。
② 証拠不明・・・環境に配慮している情報の裏付けを公表していない。
③ 曖昧さ・・・サステナブルな商品ですと言いながら、何がサステナブルなのか確かなデータがない。例えば90%の水を削減できました。と言っても実際何リットル削減できたのかがわからず曖昧な情報でごまかす。
④ 無関係さ・・・商品には関係ない情報が含まれていて理解しにくい。
⑤ 他社と比べるとベター・・・絶対的な基準ではないため、それがよいことであるか判断はできない。
⑥ 真正面からのウソ・・・偽の証明書や化石燃料を使用しているのに使っていないといった、明らかな虚偽。
⑦ 偽りのラベリング・・偽物のラベルを貼る。環境問題に詳しいライターにお金を払い、記事を書いてもらう。
●消費者は気になる服やブランドに出会ったら、相手の情報を鵜呑みにせず、ブランドに気になる点を質問して、本当に情報通りなのか確認する必要がある。
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★ワークショップ ( 2つの班に分かれてフリートーキング)

テーマ:GreenWashを止めるには?

A班 消費者の立場として
・ESD教育は必要だ。(持続可能な開発を実現するために発想し行動できる人材を育成する教育)
日本人の多くは、消費者教育を受けた経験がない、経済発展が中心で、環境を配慮しながら経済を発展させるという意識は低く、持続可能な社会のためのお金の使い方を知らない。現在企業経営している世代は理解しようとしているが、まだ現実の流れに追いつかないため、変えるのはなかなか難しい。
しかし、今回のサステナブル・ラボに参加してくれた高校生によると、現在学校ではSDGsについて学ぶ機会が多いので、今後ESD教育を受けた世代が育ち社会を変えていくと期待している。

B班 企業の立場として
企業としてGREEN WASHをしないようにするには、いろいろな取り組みは始まっている。しかし、消費者が企業に対して監視する目を持つことで企業は変わらざるを得ないので双方で取り組む必要がある。
しかし、アパレル会社の現状として、環境や人権などについて発信したいと思っていても、資金力のあるアパレル会社はマスメディアを牛耳るパワーがあり、まともな発信ができないケースも多々ある。
株主の価値観が変われば会社も変わらずを得ない。(*アパレル会社勤務の方からの発言)

 

フリートークで出た内容
・ ファッションは生活の一部であり、買って、着て、洗濯して、メンテナンスして廃棄するところまでが一連の流れ。廃棄する行為もリサイクルにするかゴミに出すかなど、悩むところが多い。男性に聞くと、年配の男性はたいてい日常着は「妻が買う」「妻が洗濯する」と言う。企業のトップはそんな世代の男性で占められているので、生活の中での衣類のサイクルに関する課題を肌で感じている人がどれくらいいるだろうかと思う。ここでもジェンダーギャップが解消されれば、問題解決の一助になるかもしれない。
・ アパレルのサステナビリティとして、リサイクルが多くを占めるが、それでは物が増えることに変わりはない。
・ 3つの安いものを買わずに、それを合わせて1つ、サステナブルに作られたものを手にいれることを考えたい。
・ 制服が安価になり始めている。これまで3年間に1着だった制服が、一部の間では、デザインを変えて数着買うという流れになるかもしれないと危惧している。
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★感想
根本さんはネット情報に頼らず自ら現地に行きリサーチして発信しているので、信ぴょう性があります。
今回のミラノ情報では、若い世代が昔の素材を使って新しい服を作ったり、生分解性の素材をファッションに取り入れていているのはとても興味深いのですが、素材が手に入りにくかったり高価で一部の人だけが使うのではなく、さまざまな企業が取り入れて、さらに研究が進み広く普及してほしいと思いました。
こうした環境に配慮した素材の開発はとても重要で、今とても必要とされていますが、世界中にあふれている不要になった服の処分もかなり深刻です。チリのアタカマ砂漠に山積にされた古着の写真には非常にショックを受け、果たしてこれ以上洋服を作る必要があるのだろうか?とさえ思いました。
自分ではゴミに出さずに、リサイクルshopに持ち込んでいるので、ごみとして捨てていないという自負がありましたが、もしかするとあの古着の山の中に私の服もあるのではないか?と思うと残念で悲しいです。安易にリサイクルに出していたら他国の環境破壊につながるかもしれない。ならば今ある自分の服を大事に着ること!最も当たり前のことが、環境保護につながるということを再認識しました。

佐藤育代記

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