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3.42008
フィリピンのイースター Ty京子 フィリピン通信5
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フィリピン通信5 2008.3.4.
フィリピンのイースター (復活祭) Ty 京子
カトリック信者が圧倒的に多いフィリピンでは、イースターがクリスマスと並んで大きな行事になっています。イースターの日は毎年動くのですが、大体は春分後の初めての満月の後に来る最初の日曜日となるそうです。ちなみに今年は3月23日です。
イースターというのは、ローマ軍によって処刑されたキリストが、予言どおり復活した日を祝うものですが、その1週間前の日曜日「Palm Sunday」(パームサンデー)からの一週間をHoly Week(ホーリーウィーク)と呼んでいます。木曜日~日曜日が祝日で4連休となります。
この行事の始まりは、イースター・サンデー(復活祭)の45日前の水曜日からで、この水曜日は「Ash Wednesday」(灰の水曜日)と呼ばれ、教会ではミサの時に信者の額に灰で十字を印します。この灰は前年の復活祭で使われたパーム(シュロ: 棕櫚)の葉を焼いたものを使います。この日は街中で額に黒い十字をつけた人を見かけ、ああイースターが近づいてきたな…と気づかされます。この日からイースターの日までが「Lent」(レント)という受難節で、人々はキリストが受けた受難を思いながら、水曜日と金曜日には肉食を避けた軽い食事をします。レストランでも肉無しのレントメニューが組まれ、マクドナルドでもフィッシュバーガーがメインになります。
受難を体験して、自分の悔いを改めたい人や願掛けをする人の中には、水曜日は沐浴もせず、絶食をするという人も有るそうです。ちょうど暑さが増してくるこの時期に、シャワーをしないというのは、チョット???な気もしますが本人は真剣です。
ホーリーウィークの始まりのパームサンデーには教会の門前にパームの葉を綺麗に編み上げた飾りを売る屋台が並びます。ローマ軍に引き立てられながらエルサレムに入城した時に、人々がパームの葉を振って迎えたという故事にちなんだ行事です。教会で清めを受けたパームを家に持ち帰り、窓や玄関に飾ると悪霊を追い払ってくれるといわれています。
この日を境に街のあちらこちらで「パッシオン」という受難の詩の朗読会やその詩を劇にした「セナクロ」という劇を見せるにわか舞台を見かけるようになります。地域の人たちがそれぞれの役になって演じる舞台です。
時にはキリストを倣って、木の十字架を背負ってはだしで歩く人や、自分の侵した罪を悔いて背中を笹の葉で鞭打ちながら歩く人を見かけることもあります。また教会の周りには、キリストの受難の様子を描いたスタンド(ステーション)が立てられ、お祈りしながら巡り歩くグループもあります。そしてキリストが処刑された金曜日には教会の中のキリスト像には黒い布がかけられ、日曜日まで人々は喪の日を過ごします。街の中はほとんどのレストランも閉まってしまい、テレビではキリストの受難劇と十戒など宗教映画だけを流しています。金曜日には家にこもる人も多く、家庭のドライバーもこの日は車に乗りたがらないですし、バスやジプニーもほとんど走らなくなります。街の中を動き回っているのは外国人とキリスト教徒では無い人たちだけかな?といった感じで、街中がひっそりしてしまいます。
日曜日12時の復活したキリストとマリア様の再会でお祭はクライマックスになり、人々は喜びのミサに臨みます。
中部ルソンのパンパンガ州では、キリストと同じように本当に十字架に釘で打ちつけられるという荒行を行う人もいます。また、マリンドゥケ島では「モリオネス」という、ローマ兵の顔をかたどった仮面をつけて繰り広げられる受難劇があり、日曜日から一週間かけて、キリストが受けた受難から復活までの実際の時刻に合わせて劇が繰り広げられ、町中の人が参加する大掛かりなお祭です。町の人たちが自分たちで作ったお面は、目や口が動くようになっていたり、ココナッツだけで作ったコスチュームをまとったりと見ているだけでも楽しいお祭りです。
しばらく前になりますが、友人たちとツアーで出かけた時には眠気と戦いながら真夜中の劇を見たり、お祭りの後にはお面を売ってくれるというので、値段交渉したりと楽しいひと時を過ごしました。そして民宿での最後の夜は、復活祭のご馳走が並び、私たちはお世話になったお礼に何か作ろうと、仲間が持参した醤油があったので、市場でカツオを手に入れ現地の材料で作った「混ぜ寿司」と「カツオのタタキ」を提供したパーティでした。民宿のおばさんたちも大喜び!どこに行く時も、醤油だけは持って行くと役に立つな~としみじみ思った次第です。
フィリピンでは3月から5月が真夏。イースターの頃に暑さが一番厳しいのが定番で、これも受難の1つだね…と人々は言っています。でも今年は、灰の水曜日が過ぎても涼しい日が多く、夏はどこに行ってしまったの?という感じです。イースターまで後2週間これからドッと暑くなってくるのでしょうか…。
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プロフィール Kyoko Ty :
東京都出身。1974年に渡比、1982年より在比駐在員の夫人たちを中心に活動する「フィリピンに学ぶ会」に参加。会の活動のひとつ「食物サークル」の世話役としてフィリピンでの食生活指南役をつとめる。