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ミャンマーの伝統織物 Myanmer Textile House ロータスシルク(蓮布)

「Likhang HABIMarketFair2024.10.」レポート🍀

ミャンマーの伝統織物  Myanmer Textile House

私たちのお向かいに出店していたのがミャンマーテキスタイルハウスのブースでした。

ミャンマーでは、報道によると、2021年の国軍のクーデター以降、国軍の支配に反発する市民による民主派勢力が抵抗を続けてきました。そして2023年、国軍に対して少数民族武装勢力が蜂起し、内戦が拡大激化、国内避難民が昨年秋で340万人を超えたとのことです(朝日新聞10/28)。

イベント主催するHABI Philippine Textile Councilでは、アセアン伝統織物シンポジウムなどを通じて、アセアン各国の織り手と交流を深めてきました。そのご縁でミャンマーの参加が決まったとのことです。厳しい状況下ですが、参加のための宿泊の配慮など経済的な支援もあり実現したそうです。Myanmer Textile House オーナーのMさんは、ミャンマーの出入国も命がけだと話されていました。少数民族が135存在するという国、独自のルートでミャンマー各地からの伝統織物を集めて、織り手の女性たちの支援をしています。事情を知ったお客様たちが次々と伝統織物を買い求めていました。女性たちの貴重な現金収入につながり大きな支援になります。

初めて出会ったロータスシルク(蓮布)

ミャンマーで織られているという「蓮布 ロータスシルク」に初めて出会いました。蓮布は、蓮の茎の部分から採取された繊維を撚って糸にして織られているそうです。ショールの生地の風合いは麻に似ていますが、繊維はよりやわらかです。布地は採取する蓮の繊維の部分によって、または糸撚りの状態により違っているようです。薄く軽やかなものはシルクと一緒に織られているようです。

 

泥の湖に鮮やかな花びらを広げて凛と咲く蓮の花。茎から繊維を採取する。仏教国の伝統織物

 

蓮の茎には、細い蜘蛛の糸のような繊維がわずかに含まれていて、それを人の手で丹念に取り出します。その少し粘着力がある繊維を手で撚って必要な太さの糸にしていくそうです。

ショールに必要な糸づくりにはおよそ9000本の茎が必要で、蓮の繊維を取り出すには、1人で2か月かかるそうです。

フィリピンのビーニャ(パイナップル布)織では、野生のパイナップルの葉っぱの葉脈繊維をていねいにしごいて繊維を採取するところを見たことがあります。糸撚りまでだけでも気の遠くなるような根気のいる作業でした。蓮の茎繊維の採取の大変さも想像できます。

 

 

蓮の茎9000本から手で採取された天然繊維で織られたショール

私が購入したショールは、蓮糸70%、シルク30%で織られたもの。変わり織りで、透け感もありやわらかで軽やかです。夏は涼しく冬は暖かく通年で使えるそうです。防水性、速乾性もあるとか。ナチュラルな色合いは、心を安らかにしてくれるし、洋服に合わせやすいです。身に着けるたびに、ミャンマーの女性の織り手さんたちのこと、そして美しい蓮の花が咲き誇る湖を想像しています。

最終製品は現地でもシルクの10倍の価格、400ドルはするそうですが、作業の大変さとその希少価値を考えると納得です。この伝統織が継承されていくようにと祈るばかりです。

 

ミャンマーでは2025年に入っても少数民族の武装蜂起で戦火が全土に拡大しているとの報道。国軍との激しい衝突で多くの市民が命を落としています。日本の一般TVニュースではあまり取り上げられないのが不思議です。同じアジアの隣人、日本も何らかの仲裁役ができないものでしょうか。今までこの内戦を実感をもって受け止められませんでしたが、オーナーのMさんとの出会いで、わがことのように感じられるようになりました。命がけで女性たちのためにフィリピンのイベント出店を果たしたMさん。ご無事とその活動の継続を祈りたいです。何より内戦がおさまり平和な生活がとりもどせますように。

 

出会いから1か月後、ある日本のバザーでミャンマーの支援に取り組むNPO代表の女医さんに出会いました。ミャンマーは国交が途絶え経済制裁も加わり、国民の生活が成り立たなくなったとのこと。多くの若者が仕事を求め大都市への出稼ぎや国外に出始めていてるところに、ついに男女ともに徴兵制が始まったそうです(2024年)。そんな不安定な政情でも現地へ向かって支援を継続するというパワフルな日本人の女医さん。こうしてたまたまご縁のつながったNPOを通じて、ささやかですがミャンマーの応援をしていきたいと思います。

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