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バンサモロ(BANSAMORO)の色彩豊かな伝統織物(ミンダナオ島)

「Likhang HABIMarketFair2024.10.」レポート🍀

バンサモロ(BANSAMORO)とは、イスラムの人々の国

ミンダナオ島西部では、50年以上フィリピン政府とモロと呼ばれるイスラム教徒たちとの対立が続いてきました。紛争の原因は、少数派のイスラム教徒たちが400年にわたり、先祖伝来の土地を奪われたり、政治・経済・社会的にさまざまな差別や不平等を受けてきたことによります。こうした背景からフィリピンからの分離と独立をめざして武力闘争を繰り広げてきました。しかし粘り強い交渉により2014年に「モロ・イスラム解放戦線 MILF」はフィリピン政府と「包括和平合意」を締結し、2019年には、「バンサモロ暫定自治政府」が設置されました。今年2025年5月には、正式なバンサモロ自治政府が発足する予定だそうです。

ブース担当の女性Aさん(お名前を失念)がバンサモロについて丁寧に教えてくださったので記録します。バンサモロは、おもに5州ほかで成り立っています。

  1. LANAO DEL SUR 南ラナオ マラナオ族(ラナオ湖の民という意味)
  2. MAGUINDANAO マギンダナオ マギンダナオ族
  3. BASILAN バシラン ヤカン族
  4. SULU スールー地方 タウスグ族
  5. TAWITAWI タウイタウイ サマ族

それぞれの民族は固有の文化をもち、個性的な伝統衣装も継承され、伝統織物も盛んです。バンサモロのブースでは、各民族の伝統織物を紹介していました。長い内戦では、女性たちにとって織物は貴重な現金収入を得る手段でした。

大判の一枚の布は生活の中でさまざまに使われるそうです。衣服やヘッドスカーフのほか赤ちゃんを抱いたり、バッグにしたり毛布にしたり・・・。 Aさんは、いろいろ実演してくれました。

 

スールー地方タウスグ族のピシャビット(Tausug pisyabit)は、細かな総模様の布。ヘッドスカーフとしても使われます。

 

色彩豊かなヤカン織。細かな刺繍のように見えますが、織物です。

 

バンサモロでは女性の社会進出が加速

長い長い戦火がやみ、2019年に暫定政府が発足して6年ですが、女性の社会進出が進み、政府関係のスタッフの40%が女性だそうです(聞き間違いでなければ)。弁護士も多く、大臣や副大臣、裁判所長官など要職にも女性がついているとのことです。Aさんも要職で活躍されています。フィリピン政府の後押しもあり、イスラム教のコーランに従っていますが、イスラム女性たちは躍進中。

フィリピンは男女格差のない国といわれます。男女平等度はアジアで1位、世界で15位(世界経済フォーラム 男女格差報告書2021)。ちなみに日本は120位でした。フィリピンでは一般企業や行政の管理職の約60%を女性が担っているといわれます。日本の女性管理職率は10%という数字ですからその差は歴然。フィリピンは女性が社会を支えています。バンサモロ新政府も女性たちによって今度こそ平和がもたらされることでしょう。

日本政府(JICA)の長い支援に感謝の声

私たちが日本人だとわかると、スタッフの皆さんが口々に「とても感謝している」と声をかけてくれました。30年以上前からJICAがミンダナオの和平交渉の仲介役として貢献していることは知っていましたが、武力闘争が続き、何度も和平交渉が決裂していました。ほんとうに息の長いかかわりをもってきて、ここまでの道のりに頭が下がります。破壊された道路のインフラや政府の施設の建設などハード面だけではなく女性支援などソフト面からも支援しているとのことです。JICAの支援なしには和平には至らなかったと、口々に話されていました。多くの人にこのJICAのプロジェクトを知ってほしいと思いました(私たちの税金が活かされています)。

★JICAのミンダナオプロジェクトについては、朝日新聞デジタル コラム「自治政府の発足まで1年 半世紀に及ぶ「ミンダナオ紛争」のこれから」落合直之 をお読みください。

https://www.asahi.com/withplanet/article/15281261半世紀に及ぶ「ミンダナオ紛争」のこれから

いま、世界のあちこちで内戦がくりひろげられています。戦うのは自分の国の人。どんなにつらいことでしょうか。一度始まった戦闘は容易にはおさまらないということは、ウクライナやガザの報道から私たちもリアルに学んでいます。そんななか、日本政府は、JICAの粘り強い取り組みと多くの知見を平和外交のために活かしていってほしいです。

 

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